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けもの塾

イヌ

活発かっぱつでいたずら。そして優やさしくて人間にんげんに従順じゅうじゅんな動物どうぶつと言いえば、イヌ。世界せかいにイヌは700~800品種ひんしゅあり、そのうちの331品種ひんしゅがジャパンケネルクラブに承認しょうにんされています。その数かずは4億匹おくひきに及およぶと言いわれています。

私わたしたちが大好だいすきなイヌ(イエイヌ)は分類学的ぶんるいがくてきに「食肉目しょくにくもく(ネコ目もく)ー イヌ亜目あもく ー イヌ下目かもく ー イヌ科か ー イヌ族ぞく ー イヌ亜族あぞく ー イヌ属ぞく ー ハイイロオオカミ(種しゅ)― イエイヌ(亜種あしゅ)」とすることもありますが、イエイヌを独立どくりつした種しゅとする考かんがえ方かたもあります。

イヌ科かは、37種しゅ~40種しゅの動物どうぶつで構成こうせいされており(分類学的ぶんるいがくてきに所説しょせつあります。)、ハイイロギツネ族ぞく、キツネ族ぞく、イヌ族ぞくに分わけられ、タヌキはキツネ族ぞく、オオカミやコヨーテはイヌ族ぞくに入はいります。

ネコ科かにはライオンやトラなど、大型おおがたの動物どうぶつがいますが、イヌ科かにはそれほどまでに大おおきな動物どうぶつはいませんが、群むれで暮くらすため、たくさんの個体こたいで大おおきさをカバーし、コミュニケーション能力のうりょくが発達はったつしているのです。

それでは、イヌ科かの野生動物やせいどうぶつたちを、くわしくみてみましょう。

イヌ科かの動物どうぶつっていつから地球ちきゅうにいるの?

ネコ科かもイヌ科かも祖先そせんは、「ネコ科かの動物どうぶつはいつから地球ちきゅうにいるの?」でふれているように、今いまから約やく6,500万年前まんねんまえから4,500万年前まんねんまえ、北米ほくべいやヨーロッパに棲息せいそくしていたミアキス(Miacis/「動物どうぶつの母はは」という意味いみ)であるとされています。ミアキスは体長たいちょう30㎝せんちめーとるくらいで、今いまのイタチのような外見がいけん。樹上じゅじょうで生活せいかつをする小形こがたの捕食動物ほしょくどうぶつでした。

ミアキスの化石かせき(フランス)

月日つきひが流ながれ、ミアキスの個体数こたいすうが増ふえ、生存競争せいぞんきょうそうが激はげしくなると、森もりを離はなれて草原そうげんに追おい出されるミアキスも出でてきて、それらの中なかから約やく3,500万年前まんねんまえにはキノディクティス(Cynodictis)という動物どうぶつへ進化しんかしていったと考かんがえられています。一方いっぽう、森もりに残のこったミアキスはネコの祖先そせん へと進化しんかをしていきました。

キノディクティスは、ミアキスと同おなじくらいの体長たいちょうであったものの、草原そうげんで生いき残のこるために脚力きゃくりょくと持久力じきゅうりょくが高たかまり、筋肉質きんにくしつの体からだへだんだん進化しんかしていきました。その一方いっぽう、ミアキスが備そなえていた(現代げんだいのネコのように)出だし入いれ自在じざいな爪つめは走はしることに適応てきおうするにつれて退化たいかしていったと考かんがえられています。また、捕つかまえた獲物えものから肉にくをかみ切きるための裂肉歯れつにくしも大おおきく発達はったつしていったようです。

このキノディクティスから進化しんかした体長たいちょう1mめーとるほどのキノディスムス(Cynodesmus)が約やく3,000万年前まんねんまえに現あられました。このキノディスムスが現在げんざいのリカオン属ぞくの祖先そせんであるとされています。キノディスムスとはまた別べつに、キノディクティスから進化しんかを遂とげ、外見がいけんがオオカミに似にたトマルクトゥス(Tomarctus)も約やく2,000万年前まんねんまえに誕生たんじょうしました。このトマルクトゥスがリカオンを除のぞく他ほかのイヌ科動物かどうぶつの祖先そせんとする説せつが有力ゆうりょくです。隠かくれる場所ばしょの少すくない草原そうげんでイヌ科動物かどうぶつは獲物えものを捕つかまえるために共同きょうどうで狩かりをすることを会得えとくし、やがて群むれを統率とうそつするリーダーが誕生たんじょうし、群むれで生活せいかつをするスタイルが定着ていちゃくしたのです。

原始的げんしてきな姿すがたをとどめるヤブイヌ

今いまから約やく700万年前まんねんまえには、トマルクトゥスはリカオンを除のぞく11属ぞく(タヌキ属ぞく、ヤブイヌ属ぞく、カニクイイヌ属ぞく、クルペオギツネ属ぞく、タテガミオオカミ属ぞく、オオカミギツネ属ぞく、ホッキョクギツネ属ぞく、ハイイロギツネ属ぞく 、キツネ属ぞく、ドール属ぞく、イヌ属ぞく)に分わかれ、その中なかのイヌ属ぞく が8種しゅ(アビシニアジャッカル、キンイロジャッカル、セグロジャッカル、ヨコスジジャッカル、コヨーテ、ニホンオオカミ、アメリカアカオオカミ、ハイイロオオカミ)に枝分えだわかれしました。そして、ハイイロオオカミの原始的げんしてきなタイプからオーストラリアのディンゴやイエイヌが分わかれていったと考かんがえる学者がくしゃもいます。この分岐ぶんきの年代ねんだいについては色々いろいろな説せつがあり、DNAでぃーえぬえー(デオキシリボ核酸かくさん)を用もちいた分析ぶんせきや化石かせきなどからの研究けんきゅうが今いまも続つづけられています。

 

イヌ科かにはどんな動物どうぶつがいるの?

イヌ科かには、オオカミやキツネ、タヌキも入ります。それでは、世界せかいにいるイヌ科かの動物どうぶつを見みてみましょう。

【イヌ科かの動物どうぶつ】

[ ]内ないの表示ひょうじは、棲息地せいそくち/成獣せいじゅうの平均体重へいきんたいじゅう(kgきろぐらむ)

コミミイヌ属ぞく(Atelocynus)
○コミミイヌ(A. microtis)[ペルー、ボリビア、ブラジル、コロンビア、エクアドル、ベネズエラなどのアマゾン熱帯雨林ねったいうりん/8.4㎏]

イヌ属ぞく(Canis)
○ヨコスジジャッカル(C. adustus)[セネガルからソマリア、南みなみアフリカ/5~14㎏] 
○キンイロジャッカル(C. aureus)[セネガルからタイ、スリランカ/11㎏]
○コヨーテ(C. latrans)[アラスカ、カナダ、アメリカ本土ほんど/6.8~21㎏]
○オオカミ(別名べつめい:ハイイロオオカミ、タイリクオオカミ/C. lupus)[ユーラシア大陸たいりく、北きたアメリカ/25〜58㎏]
○セグロジャッカル(C. mesomelas)[南みなみアフリカおよび北きたアフリカ/5.4~10㎏]
○アビシニアジャッカル(C. simensis)[エチオピア/14㎏]

セグロジャッカル

カニクイイヌ属ぞく(Cerdocyon)
○カニクイイヌ(C. thous)[コロンビア、ベネズエラからブラジル、アルゼンチン、ウルグア/5.7㎏]

カニクイイヌ

タテガミオオカミ属ぞく(Chrysocyon)
○タテガミオオカミ(C. brachyurus)[ブラジル東部とうぶからアルゼンチン北部ほくぶ/22㎏]

 タテガミオオカミ

ドール属ぞく(Cuon)
○ドール(別名べつめい:アカオオカミ/C. alpinus)[西にしアジアから中国ちゅうごく、インド、インドシナからジャワ/10~20㎏]

ドール(アカオオカミ)

フォークランドオオカミ属ぞく(Dusicyon)
○フォークランドオオカミ(D. australis)[フォークランド諸島しょとう/15kg]*絶滅ぜつめつ

スジオイヌ属ぞく(Lycalopex)
○クルペオギツネ(L. culpaeus)[南米なんべい/8.6㎏]
○ダーウィンギツネ(L. fulvipes)[チリ/2~3㎏]       
○チコハイイロギツネ(L. griseus)[チリ、アルゼンチンのパタゴニア地方ちほう、フォークランド諸島しょとう/4㎏]        
○パンパスギツネ(L. gymnocercus)[南米なんべい/6.5㎏]    
○セチュラギツネ(L. sechurae)[エクアドル南西部なんせいぶ、ペルー北西部ほくせいぶ/4.1㎏]
○スジオイヌ(L. vetulus)[ブラジル中南部ちゅうなんぶ/4.2㎏]

チコハイイロギツネ

リカオン属ぞく(Lycaon)
○リカオン(L. pictus)[サハラ砂漠さばくから南みなみアフリカ/22㎏]

タヌキ属ぞく(Nyctereutes)
○タヌキ(N. procyonoides)[日本にほん、朝鮮半島ちょうせんはんとう、中国ちゅうごくやロシア東部とうぶ/6㎏]

オオミミギツネ属ぞく(Otocyon)
○オオミミギツネ(O. megalotis)[アフリカ東部とうぶと南部なんぶの草原地帯そうげんちたい/4.1㎏]

オオミミギツネ

ヤブイヌ属ぞく(Speothos)
○ヤブイヌ(S. venaticus)[中央ちゅうおうアメリカ東部とうぶ、南みなみアメリカ北部ほくぶ/6㎏]

ハイイロギツネ属ぞく(Urocyon)
○ハイイロギツネ(U. cinereoargenteus) [アメリカ合衆国がっしゅうこくからコロンビア/3.8㎏]
○シマハイイロギツネ(U. littoralis)[アメリカ加州かりふぉるにあしゅうチャンネル諸島しょとう/1.9㎏]

ハイイロギツネ

キツネ属ぞく(Vulpes)
○ベンガルギツネ(V. bengalensis)[インド亜大陸あたいりく/2.4㎏]       
○ブランフォードギツネ(V. cana)[トルキスタン、アフガニスタン、イラン、バルーチスターンの乾燥地帯かんそうちたい/1㎏]       
○ケープギツネ(V. chama)[アンゴラ南部なんぶ、ジンバブエ南部なんぶ、ナミビア、ボツワナ南部なんぶ、南みなみアフリカ共和国きょうわこくの草原そうげんや半砂漠はんさばく/3.5㎏]    
○コサックギツネ(V. corsac)[アフガニスタン北部ほくぶから旧きゅう ソ連南部れんなんぶ、バイカル湖付近こふきんまでの乾燥地帯かんそうちたい/2.3㎏]   
○チベットスナギツネ(V. ferrilata)[チベット、ネパールの乾燥地帯かんそうちたい/5.5㎏]    
○ホッキョクギツネ(V. lagopus)[ユーラシアと北きたアメリカの北極地ほっきょくち/3.2~9.4㎏]
○キットギツネ(V. macrotis)[北きたアメリカ ロッキー山脈さんみゃくの西方せいほう/2.5㎏]
○オグロスナギツネ(V. pallida)[コルドファン高原こうげん、リビア、セネガル、ナイジェリア、カメルーンの砂漠地帯さばくちたい/2.8㎏] 
○オジロスナギツネ(V. rueppelli)[アフリカ北部ほくぶ、アラビア半島はんとうからアフガニスタン、バルーチスターンの砂漠さばく、半砂漠地帯はんさばくちたい/3.2㎏]    
○スウィフトギツネ(V. velox)[北きたアメリカのロッキー山脈さんみゃく東方とうほうにある砂漠さばくや草原そうげん/2.1㎏]       
○アカギツネ(V. Vulpes)[北半球きたはんきゅうのほぼ全域ぜんいき/2.2~14㎏]
○フェネック(V. zerda)[ヌビア砂漠さばくからアルジェリア、シナイ半島はんとうおよびアラビア半島はんとうの砂漠さばくと半砂漠地帯はんさばくちたい/0.68㎏~1.6㎏]

チベットスナギツネ

 

日本にほんにはどんな野生やせいのイヌ科動物かどうぶつがいるの?

タヌキとアカギツネ ー 日本にほんに現在げんざい棲息せいそくしている野生やせいのイヌ科動物かどうぶつは、この2種しゅのみです。

【タヌキ】

タヌキといえば、昔話むかしばなしやアニメによく出でてくるキャラクターで、日本にほんではとても馴染なじみ深ぶかい動物どうぶつ。しかし、タヌキは日本にほんや朝鮮半島ちょうせんはんとう、中国ちゅうごく、極東きょくとうロシアのみに棲息せいそくし、世界的せかいてきにはとても珍めずらしい動物どうぶつと考かんがえられているのです。旧きゅうソ連れんの頃ころ、毛皮けがわをとるために移入いにゅうされたタヌキが現在げんざいでは、ヨーロッパ各地かくちに広ひろがりをみせているようですが、日本にほんのタヌキとは同おなじ亜種あしゅではないようです。タヌキは棲すむ場所ばしょの違ちがいによって体からだの特徴とくちょうが異ことなり、分類ぶんるいすると6つの亜種あしゅに分わかれます。そのうち日本にほんにはいるタヌキは、北海道ほっかいどうに棲すむ「エゾタヌキ(Nyctereutes procyonoides albus)」そして本州ほんしゅうと四国しこく、九州きゅうしゅうに棲息せいそくする「ホンドタヌキ(Nyctereutes procyonoides viverrinus)」の2亜種あしゅとなります。

エゾタヌキ

タヌキは山地さんちから都市としにまで幅広はばひろく棲息せいそくしています。基本きほん、夜行性やこうせいで雑食ざっしょくのため、夜よるには人ひとや車くるまの通行つうこうが少すくなくなり、しかも生なまゴミの多おおい都会とかいで十分じゅうぶんに生活せいかつをすることができるのです。タヌキは古代こだいのイヌに近ちかいずんぐりむっくりとした体形たいけいをしていて、イヌ科かの中なかでも原始的げんしてきと言いわれています。イヌ科かの祖先そせんが草原そうげんに生活せいかつの場ばを求もとめていったことを前まえで触ふれましたが、タヌキは遠とおくの草原そうげんではなく、もともと棲すんでいた樹上じゅじょうから足あしもとの森林しんりんや湿地しっちで棲すみ続つづけてきたのです。

性格せいかくはとても臆病おくびょうで、大おおきな物音ものおとがすると気絶きぜつしたふりをするといわれ、「死しんだのかな?」と思おもってそばに行いくと、ぱっと目めが覚さめて逃に げだすことから「狸寝入たぬきねいり」という言葉ことばができたとされます。

タヌキはイヌ科かには珍めずらしく、単独たんどく、またはゆるいペアで行動こうどうし、子こどもが10か月げつほどで独立どくりつするまでは家族集団かぞくしゅうだんで生活せいかつをします。

体長たいちょうは50~60㎝せんちめーとる、尾長びちょうは15~20㎝せんちめーとるほど。エゾタヌキの方ほうがホンドタヌキより被毛ひもうが長ながく、四肢ししも長ながめです。

ホンドタヌキ


【アカギツネ】

丸まるみを帯おびた外見がいけんのタヌキと対照的たいしょうてきな見目麗みめうるわしいキツネ。日本にほんでは沖縄おきなわをのぞくほぼ全すべての地域ちいきにアカギツネが棲息せいそくしています。北海道ほっかいどうにいるのは、アカギツネの亜種あしゅである「キタキツネ(Vulpes vulpes schrencki)」、本州ほんしゅう・四国しこく・九州きゅうしゅうには、やはりアカギツネの亜種あしゅである「ホンドギツネ(Vulpes vulpes japonica)」が棲息せいそくしています。

キタキツネ

キタキツネとホンドギツネの違ちがいは、キタキツネの方ほうがやや大おおきく、毛色けいろが明あかるめです。キタキツネは黒くろいタイツをはいたように、前まえと後うしろの脚あしが黒くろくなっています。乳頭にゅうとうの数かずはキタキツネは6~8個こ、ホンドギツネは8~10個こと異ことなり、頭骨とうこつの形かたちなどからもホンドギツネはアカギツネの亜種あしゅではなく、日本固有種にほんこゆうしゅとする説せつもあるほどです。

ホンドギツネ

キツネもタヌキ同様どうよう、イヌ科かには珍めずしく単独たんどくで行動こうどうします。冬ふゆになると夫婦ふうふで繁殖行動はんしょくこうどうをし、8~10か月後げつごの子別こわかれの時期じきまで一緒いっしょに子育こそだてをします。

他ほかのイヌ科動物かどうぶつとは異ことなり、狩かりを群むれではなく単独たんどくで行おこなう点てんや丸まるい瞳ひとみではなく、縦型たてがたの瞳ひとみをもっている点てんなど、キツネはネコ科動物かどうぶつに似にています。キツネは身体能力しんたいのうりょくが高たかく、冬場ふゆばなどはジャンプをしながら雪ゆきの中なかにダイブし、ネズミなどの小動物しょうどうぶつを捕つかまえます。キツネは地磁気ちじき(地球ちきゅうが発はっする磁力じりょく)を利用りようして距離きょりを推測すいそくする能力のうりょくがあるらしく、そのために雪ゆきの下したの獲物えものの位置いちが正確せいかくにわかると考かんがえる人ひともいるようです。しかし、キツネは優すぐれた聴覚ちょうかくによって雪ゆきの下したのネズミ類るいなどを見みつけ出だしているのです。また、キツネは食たべきることのできない獲物えものを土つちの中なかのいくつもの箇所かしょに埋うめる習性しゅうせいがありますが、後あとからその場所ばしょをほどんどまちがわずに掘ほり当あてることから、記憶力きおくりょくも優すぐれているようです。

ジャンプして雪ゆきの中なかに飛とび込こむキツネ

 

日本にほんにはもうオオカミはいないの?

日本にほんにもかつてはニホンオオカミが棲息せいそく し、イヌワシを除のぞけば食物連鎖しょくもつれんさの頂点ちょうてんに立たっていたのです。食物連鎖しょくもつれんさの頂点ちょうてんにあるということは、オオカミを捕食ほしょくする哺乳類ほにゅうるいはいないということです。

オオカミ(日本にほんではすでに絶滅ぜつめつ)

どうして絶滅ぜつめつしたんだろう?

今いまでこそ製造業せいぞうぎょうとIT産業あいてぃーさんぎょうが盛さかんな日本にほんですが、昔むかしの日本人にほんじんは田畑たはたを耕たがやし、作物さくもつを収穫しゅうかくする農耕民族のうこうみんぞくでした。そのため、田畑たはたを自然災害しぜんさいがいやシカ、イノシシといった野生生物やせいせいぶつから守まもることが必要ひつようでした。オオカミはシカやイノシシなどの野生動物やせいどうぶつを捕食ほしょくすることから、人々ひとびとはオオカミを畏おそれながらも尊たっとび、田畑たはたを守まもる神様かみさまとして崇あがめてきたのです。ところが、明治時代めいじじだいになり、ヨーロッパ系けいのイエイヌが入はいってくると同時どうじに狂犬病きょうけんびょうやジステンパーなどの病気びょうきも入はいり、オオカミにもそれらの病気びょうきがうつり、広ひろがっていったようです。そして、狩猟用しゅりょうようの銃じゅうの性能せいのうが高たかまり、食肉しょくにくや毛皮けがわを求もとめて野生動物やせいどうぶつが大量たいりょうに捕獲ほかくされ、オオカミの食物しょくもつとなる動物どうぶつの数かずが減へり、オオカミは馬うまなどの放牧動物ほうぼくどうぶつを襲おそうようになったのです。また、日本にほんに根付ねづいていた動物どうぶつを神格化しんかくかする価値観かちかんを否定ひていするような西洋せいようの思想しそうが入はいってきたことにより、オオカミは忌いまわしい動物どうぶつとして駆除くじょされてきたのでしょう。さらに、農地のうちを広ひろげるために森林しんりんの伐採ばっさいなども各地かくちで起おこり、オオカミはだんだんと姿すがたを消けし、1905年ねん1月がつの捕獲ほかくが最後さいごの記録きろくとなり絶滅ぜつめつしたと考かんがえられています。本州ほんしゅう、四国しこく、九州きゅうしゅうに棲息せいそくしていたオオカミはニホンオオカミ。北海道ほっかいどうにはハイイロオオカミの亜種あしゅのエゾオオカミが棲息せいそくしていました。エゾオオカミはニホンオオカミもよりも早はやくに駆除くじょされ、絶滅ぜつめつしています。

絶滅ぜつめつしたオオカミを取とり戻もどせる?

日本にほんをはじめオオカミが絶滅ぜつめつしてしまった地域ちいきでは、オオカミなどの天敵てんてきがいないため、シカやイノシシなどの野生やせいの草食動物そうしょくどうぶつの数かずが激増げきぞうし、地域ちいきの植物しょくぶつを食くいつくし、田畑たはただけでなく、残のこされた森林しんりんの生態系せいたいけいを破壊はかいする事態じたいが生しょうじています。そのため、絶滅ぜつめつしたオオカミをその地域ちいきに移入いにゅうする試こころみを行おこなっている国くにや地域ちいきもあります。しかし、ニホンオオカミはハイイロオオカミとは別種べっしゅであり、ハイイロオオカミを放はなつということは強力きょうりょくな外来種がいらいしゅを放はなすことになりますから、少すくなくとも本州ほんしゅう、四国しこく、九州きゅうしゅうではまったく受うけ入いれられません。

オオカミの母ははと子こ

オオカミとイエイヌ

オオカミは夫婦ふうふでの生活せいかつを基本きほんとし、狩かりをするときには、力ちからや性格せいかくなどの優すぐれたリーダーのもと、群むれで戦略的せんりゃくてきに行動こうどうします。これは、自分じぶんたちよりも大おおきな動物どうぶつを仕留しとめるために長ながい歴史れきしのなかでだんだんと習得しゅうとくしてきた行動こうどうです。群むれで行動こうどうすることも多おおいため、服従ふくじゅうの印しるしにおなかを見みせるなど、イエイヌに近ちかいボディランゲージを使つかって積極的せっきょくてきにお互たがいにコミュニケーションを取とり合あっています。

イエイヌはタイリクオオカミの古ふるいタイプのシュウコウテンオオカミ(40万年まんねんほど前まえの化石種かせきしゅ)から分わかれ、2万まん5,000年前ねんまえごろ、西にしアジアで人間にんげんと一緒いっしょに暮くらすようになったとされます。

 

イヌ科動物かどうぶつとネコ科動物かどうぶつの違ちがいって何なんだろう?

大おおきさについて

ネコ科動物かどうぶつには、トラやライオンといった体重たいじゅうが200㎏きろぐらむを超こえるものから、2㎏きろぐらむにも及およばないほど小ちいさなサビイロネコやクロアシネコまでいます。一方いっぽう、イヌ科かの最大さいだいはタイリクオオカミで、大おおきいものは80㎏きろぐらむにもなります。最小さいしょうはフェネックで、2㎏きろぐらむ未満みまんという小ちいささです。


フェネック

野生動物やせいどうぶつでは現在げんざい、ネコ科かの方ほうが圧倒的あっとうてきに体格たいかくのよい動物どうぶつが多おおいのですが、2,000万年前まんねんまえ~500万年前まんねんまえの北きたアメリカには、エピキオンというライオンのような骨格こっかくのイヌ科動物かどうぶつがいたと考かんがえられています。死肉しにくを食たべ、骨ほねまでかみ砕くだくほどの強つよい顎あごをもっていましたが、大おおきな体格たいかくを維持いじするだけの食物しょくもつをとり続つづけることができず、絶滅ぜつめつしてしまったのです。

動物どうぶつにとっては獲物えものをとることは死活問題しかつもんだいです。大昔おおむかし、樹上じゅじょうで暮くらしていた動物どうぶつの中なかで森もりに残のこったのがネコ科かの祖先そせん、草原そうげんに出でて行いったのがイヌ科かの祖先そせんになったことは、「イヌ科かの動物どうぶつはいつから地球ちきゅうにいるの?」ですでにお話はなしをしている通とおり。ネコ科動物かどうぶつの祖先そせんたちは、木きの陰かげや茂しげみに身みを潜ひそめ、一気いっきに獲物えものをとる方法ほうほう、一方いっぽうのイヌ科動物かどうぶつの祖先そせんたちは、隠かくれる場所ばしょの少すくない草原そうげんをひたすら走はしり、持久戦じきゅうせんとチームワークで獲物えものを仕留しとめる方法ほうほうを身みにつけたのです。ネコ科かの場合ばあい、一気いっきに獲物えものをとるにはバネのようにしなやかな肉体にくたいと瞬発力しゅんぱつりょく、そしてパワーが必要ひつようです。そのため、筋肉きんにくもだんだんと大おおきくなり、骨格こっかくもそれに伴ともなって大おおきくなっていったのです。イヌ科かの方ほうは長距離ちょうきょりを走はしりぬくために、疲労 ひろうの少すくないコンパクトな体からだを保たもち、群むれで狩かりをするスタイルを定着ていちゃくさせていったのです。こうして、イヌ科かにはネコ科かほど大おおきな動物どうぶつはいないということになったのです。

アビシニアジャッカルの群むれ(エチオピア)

イエイヌとイエネコを比くらべた場合ばあい、イエイヌの方ほうが大おおきい種類しゅるいが多おおいと思おもいます。イエイヌには大形おおがたのハイイロオオカミの血ちが混まざっているから、大小だいしょう様々さまざまのイヌがいるのです。イエネコはリビアヤマネコだけからなるため大おおきさの変異へんいの幅はばが小ちいさいのです。もし、ボルドー・マスティフとかグレート・ピレニーズといった大おおきさのイエネコがいたら、その運動能力うんどうのうりょくから考かんがえると人間にんげんには危険きけんすぎますよね。

大おおきも様々さまざまなイエイヌ

コミュニケーション能力のうりょくについて

群むれで行動こうどうをする動物どうぶつには、哺乳類ほにゅうるいの場合ばあい、ヒトやチンパンジー、ゴリラなどの霊長類れいちょうるい、オオカミをはじめとするイヌ科動物かどうぶつ、そしてハダカデバネズミなどがいます。これらの動物どうぶつは他ほかの個体こたいと一緒いっしょ、または近ちかくで生活せいかつをするために、お互たがいの意思いしを伝つたえ、理解りかいする必要ひつようがあります。イヌ科動物かどうぶつの多おおくは群むれで生活せいかつをし、狩かりをしますが、群むれで生活せいかつをするものの、狩かりは単独たんどくで行おこなったり、単独たんどくで生活せいかつをしながら群むれで狩かりをしたりする種類しゅるいもいます。

オオカミの群むれ

群むれでいる時間じかんが長ながい種類しゅるい(ハイイロオオカミなど)の方ほうが視線しせんを交かわす時間じかんも長ながく、積極的せっきょくてきにコミュニケーションをとっているとする研究結果けんきゅうけっかもあります。

リカオン

「アフリカの野犬やけん」と呼よばれるリカオンは体長100cmせんちめーとる前後ぜんごのイヌ科動物かどうぶつ。狩かりでの成功率せいこうりつはライオンが20~30%ぱーせんとなのに対たいし、リカオンは80%ぱーせんととものすごい狩かりの能力のうりょくをもちます。リカオンはたいてい6頭とうほど、多おおい場合ばあいには30頭とうほどの群むれを作つくり、生活せいかつを共ともにしています。狩かりの時ときには、仲間同士なかまどうしで声こえを出だし合あって積極的せっきょくてきにコミュニケーションをとっています。狩かりで遅おくれをとってしまった仲間なかまを声こえを出だして呼よんだり、先頭せんとうに立たつリカオンが疲つかれたときには、他ほかのリカオンが先頭せんとうに立たったりとすばらしいチームワークを発揮はっきします。また、怪我けがをした仲間なかまを置おき去ざりにすることなく、みんなで世話せわをしたり、子こどもを群むれで育そだてたりと、高たかい社会性しゃかいせいをもつイヌ科動物かどうぶつなのです。こうしたリカオンの社会性しゃかいせいは、高たかいコミュニケーション能力のうりょくをもつからこそ保たもたれているのです。とても残念ざんねんなことに、最近さいきんではリカオンも、イエイヌの病気びょうきが伝染でんせんしたりして劇的げきてきに数かずを減へらし、絶滅危惧種ぜつめつきぐしゅに指定していされています。

群むれで狩かりをするリカオン

一方いっぽう、ネコ科動物かどうぶつはライオンを除のぞき、ほとんどが単独たんどくで生活せいかつをし、単独たんどくで狩かりをしています。母ははと子この間あいだではなめたり、鳴なき声ごえを出だすことでお互たがいの存在そんざいを確認かくにんしあうコミュニケーションはあります。しかし、群むれで狩かりをすることがないため、成獣せいじゅうが繁殖期はんしょくきに異性いせいを呼よんだり、威嚇いかくしあうために鳴なき声ごえをあげる以上いじょうに目立めだったコミュニケーションはありません。

進化しんかしたイヌ類るいのこうしたすぐれたコミュニケーション能力のうりょくがイエイヌにも受うけ継つがれているからこそ、イエイヌは人間にんげんともわりとスムースに親したしくなれるのだと考かんがえられます。

イエイヌ