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イヌ

活発かっぱつでいたずら。そしてやさしくて人間にんげん従順じゅうじゅん動物どうぶつえば、イヌ。世界せかいにイヌは700~800品種ひんしゅあり、そのうちの331品種ひんしゅがジャパンケネルクラブに承認しょうにんされています。そのかずは4億匹おくひきおよぶとわれています。

わたしたちが大好だいすきなイヌ(イエイヌ)は分類学的ぶんるいがくてきに「食肉目しょくにくもく(ネコもく)ー イヌ亜目あもく ー イヌ下目かもく ー イヌ ー イヌぞく ー イヌ亜族あぞく ー イヌぞく ー ハイイロオオカミ(しゅ)― イエイヌ(亜種あしゅ)」とすることもありますが、イエイヌを独立どくりつしたしゅとするかんがかたもあります。

イヌは、37しゅ~40しゅ動物どうぶつ構成こうせいされており(分類学的ぶんるいがくてき所説しょせつあります。)、ハイイロギツネぞく、キツネぞく、イヌぞくけられ、タヌキはキツネぞく、オオカミやコヨーテはイヌぞくはいります。

ネコにはライオンやトラなど、大型おおがた動物どうぶつがいますが、イヌにはそれほどまでにおおきな動物どうぶつはいませんが、れでらすため、たくさんの個体こたいおおきさをカバーし、コミュニケーション能力のうりょく発達はったつしているのです。

それでは、イヌ野生動物やせいどうぶつたちを、くわしくみてみましょう。

イヌ動物どうぶつっていつから地球ちきゅうにいるの?

ネコもイヌ祖先そせんは、「ネコ動物どうぶつはいつから地球ちきゅうにいるの?」でふれているように、いまからやく6,500万年前まんねんまえから4,500万年前まんねんまえ北米ほくべいやヨーロッパに棲息せいそくしていたミアキス(Miacis/「動物どうぶつはは」という意味いみ)であるとされています。ミアキスは体長たいちょう30せんちめーとるくらいで、いまのイタチのような外見がいけん樹上じゅじょう生活せいかつをする小形こがた捕食動物ほしょくどうぶつでした。

ミアキスの化石かせき(フランス)

月日つきひながれ、ミアキスの個体数こたいすうえ、生存競争せいぞんきょうそうはげしくなると、もりはなれて草原そうげんされるミアキスもてきて、それらのなかからやく3,500万年前まんねんまえにはキノディクティス(Cynodictis)という動物どうぶつ進化しんかしていったとかんがえられています。一方いっぽうもりのこったミアキスはネコの祖先そせん へと進化しんかをしていきました。

キノディクティスは、ミアキスとおなじくらいの体長たいちょうであったものの、草原そうげんのこるために脚力きゃくりょく持久力じきゅうりょくたかまり、筋肉質きんにくしつからだへだんだん進化しんかしていきました。その一方いっぽう、ミアキスがそなえていた(現代げんだいのネコのように)自在じざいつめはしることに適応てきおうするにつれて退化たいかしていったとかんがえられています。また、つかまえた獲物えものからにくをかみるための裂肉歯れつにくしおおきく発達はったつしていったようです。

このキノディクティスから進化しんかした体長たいちょう1めーとるほどのキノディスムス(Cynodesmus)がやく3,000万年前まんねんまえあられました。このキノディスムスが現在げんざいのリカオンぞく祖先そせんであるとされています。キノディスムスとはまたべつに、キノディクティスから進化しんかげ、外見がいけんがオオカミにたトマルクトゥス(Tomarctus)もやく2,000万年前まんねんまえ誕生たんじょうしました。このトマルクトゥスがリカオンをのぞほかのイヌ科動物かどうぶつ祖先そせんとするせつ有力ゆうりょくです。かくれる場所ばしょすくない草原そうげんでイヌ科動物かどうぶつ獲物えものつかまえるために共同きょうどうりをすることを会得えとくし、やがてれを統率とうそつするリーダーが誕生たんじょうし、れで生活せいかつをするスタイルが定着ていちゃくしたのです。

原始的げんしてき姿すがたをとどめるヤブイヌ

いまからやく700万年前まんねんまえには、トマルクトゥスはリカオンをのぞく11ぞく(タヌキぞく、ヤブイヌぞく、カニクイイヌぞく、クルペオギツネぞく、タテガミオオカミぞく、オオカミギツネぞく、ホッキョクギツネぞく、ハイイロギツネぞく 、キツネぞく、ドールぞく、イヌぞく)にかれ、そのなかのイヌぞく が8しゅ(アビシニアジャッカル、キンイロジャッカル、セグロジャッカル、ヨコスジジャッカル、コヨーテ、ニホンオオカミ、アメリカアカオオカミ、ハイイロオオカミ)に枝分えだわかれしました。そして、ハイイロオオカミの原始的げんしてきなタイプからオーストラリアのディンゴやイエイヌがかれていったとかんがえる学者がくしゃもいます。この分岐ぶんき年代ねんだいについては色々いろいろせつがあり、DNAでぃーえぬえー(デオキシリボ核酸かくさん)をもちいた分析ぶんせき化石かせきなどからの研究けんきゅういまつづけられています。

 

イヌにはどんな動物どうぶつがいるの?

イヌには、オオカミやキツネ、タヌキも入ります。それでは、世界せかいにいるイヌ動物どうぶつてみましょう。

【イヌ動物どうぶつ

[ ]ない表示ひょうじは、棲息地せいそくち成獣せいじゅう平均体重へいきんたいじゅう(kgきろぐらむ)

コミミイヌぞくAtelocynus
○コミミイヌ(A. microtis)[ペルー、ボリビア、ブラジル、コロンビア、エクアドル、ベネズエラなどのアマゾン熱帯雨林ねったいうりん/8.4㎏]

イヌぞくCanis
○ヨコスジジャッカル(C. adustus)[セネガルからソマリア、みなみアフリカ/5~14㎏] 
○キンイロジャッカル(C. aureus)[セネガルからタイ、スリランカ/11㎏]
○コヨーテ(C. latrans)[アラスカ、カナダ、アメリカ本土ほんど/6.8~21㎏]
○オオカミ(別名べつめい:ハイイロオオカミ、タイリクオオカミ/C. lupus)[ユーラシア大陸たいりくきたアメリカ/25〜58㎏]
○セグロジャッカル(C. mesomelas)[みなみアフリカおよびきたアフリカ/5.4~10㎏]
○アビシニアジャッカル(C. simensis)[エチオピア/14㎏]

セグロジャッカル

カニクイイヌぞくCerdocyon
○カニクイイヌ(C. thous)[コロンビア、ベネズエラからブラジル、アルゼンチン、ウルグア/5.7㎏]

カニクイイヌ

タテガミオオカミぞくChrysocyon
○タテガミオオカミ(C. brachyurus)[ブラジル東部とうぶからアルゼンチン北部ほくぶ/22㎏]

 タテガミオオカミ

ドールぞくCuon
○ドール(別名べつめい:アカオオカミ/C. alpinus)[西にしアジアから中国ちゅうごく、インド、インドシナからジャワ/10~20㎏]

ドール(アカオオカミ)

フォークランドオオカミぞくDusicyon
○フォークランドオオカミ(D. australis)[フォークランド諸島しょとう/15kg]*絶滅ぜつめつ

スジオイヌぞくLycalopex
○クルペオギツネ(L. culpaeus)[南米なんべい/8.6㎏]
○ダーウィンギツネ(L. fulvipes)[チリ/2~3㎏]       
○チコハイイロギツネ(L. griseus)[チリ、アルゼンチンのパタゴニア地方ちほう、フォークランド諸島しょとう/4㎏]        
○パンパスギツネ(L. gymnocercus)[南米なんべい/6.5㎏]    
○セチュラギツネ(L. sechurae)[エクアドル南西部なんせいぶ、ペルー北西部ほくせいぶ/4.1㎏]
○スジオイヌ(L. vetulus)[ブラジル中南部ちゅうなんぶ/4.2㎏]

チコハイイロギツネ

リカオンぞくLycaon
○リカオン(L. pictus)[サハラ砂漠さばくからみなみアフリカ/22㎏]

タヌキぞくNyctereutes
○タヌキ(N. procyonoides)[日本にほん朝鮮半島ちょうせんはんとう中国ちゅうごくやロシア東部とうぶ/6㎏]

オオミミギツネぞくOtocyon
○オオミミギツネ(O. megalotis)[アフリカ東部とうぶ南部なんぶ草原地帯そうげんちたい/4.1㎏]

オオミミギツネ

ヤブイヌぞくSpeothos
○ヤブイヌ(S. venaticus)[中央ちゅうおうアメリカ東部とうぶみなみアメリカ北部ほくぶ/6㎏]

ハイイロギツネぞくUrocyon
○ハイイロギツネ(U. cinereoargenteus) [アメリカ合衆国がっしゅうこくからコロンビア/3.8㎏]
○シマハイイロギツネ(U. littoralis)[アメリカ加州かりふぉるにあしゅうチャンネル諸島しょとう/1.9㎏]

ハイイロギツネ

キツネぞくVulpes
○ベンガルギツネ(V. bengalensis)[インド亜大陸あたいりく/2.4㎏]       
○ブランフォードギツネ(V. cana)[トルキスタン、アフガニスタン、イラン、バルーチスターンの乾燥地帯かんそうちたい/1㎏]       
○ケープギツネ(V. chama)[アンゴラ南部なんぶ、ジンバブエ南部なんぶ、ナミビア、ボツワナ南部なんぶみなみアフリカ共和国きょうわこく草原そうげん半砂漠はんさばく/3.5㎏]    
○コサックギツネ(V. corsac)[アフガニスタン北部ほくぶからきゅう連南部れんなんぶ、バイカル湖付近こふきんまでの乾燥地帯かんそうちたい/2.3㎏]   
○チベットスナギツネ(V. ferrilata)[チベット、ネパールの乾燥地帯かんそうちたい/5.5㎏]    
○ホッキョクギツネ(V. lagopus)[ユーラシアときたアメリカの北極地ほっきょくち/3.2~9.4㎏]
○キットギツネ(V. macrotis)[きたアメリカ ロッキー山脈さんみゃく西方せいほう/2.5㎏]
○オグロスナギツネ(V. pallida)[コルドファン高原こうげん、リビア、セネガル、ナイジェリア、カメルーンの砂漠地帯さばくちたい/2.8㎏] 
○オジロスナギツネ(V. rueppelli)[アフリカ北部ほくぶ、アラビア半島はんとうからアフガニスタン、バルーチスターンの砂漠さばく半砂漠地帯はんさばくちたい/3.2㎏]    
○スウィフトギツネ(V. velox)[きたアメリカのロッキー山脈さんみゃく東方とうほうにある砂漠さばく草原そうげん/2.1㎏]       
○アカギツネ(V. Vulpes)[北半球きたはんきゅうのほぼ全域ぜんいき/2.2~14㎏]
○フェネック(V. zerda)[ヌビア砂漠さばくからアルジェリア、シナイ半島はんとうおよびアラビア半島はんとう砂漠さばく半砂漠地帯はんさばくちたい/0.68㎏~1.6㎏]

チベットスナギツネ

 

日本にほんにはどんな野生やせいのイヌ科動物かどうぶつがいるの?

タヌキとアカギツネ ー 日本にほん現在げんざい棲息せいそくしている野生やせいのイヌ科動物かどうぶつは、この2しゅのみです。

【タヌキ】

タヌキといえば、昔話むかしばなしやアニメによくてくるキャラクターで、日本にほんではとても馴染なじみぶか動物どうぶつ。しかし、タヌキは日本にほん朝鮮半島ちょうせんはんとう中国ちゅうごく極東きょくとうロシアのみに棲息せいそくし、世界的せかいてきにはとてもめずらしい動物どうぶつかんがえられているのです。きゅうれんころ毛皮けがわをとるために移入いにゅうされたタヌキが現在げんざいでは、ヨーロッパ各地かくちひろがりをみせているようですが、日本にほんのタヌキとはおな亜種あしゅではないようです。タヌキは場所ばしょちがいによってからだ特徴とくちょうことなり、分類ぶんるいすると6つの亜種あしゅかれます。そのうち日本にほんにはいるタヌキは、北海道ほっかいどうむ「エゾタヌキ(Nyctereutes procyonoides albus)」そして本州ほんしゅう四国しこく九州きゅうしゅう棲息せいそくする「ホンドタヌキ(Nyctereutes procyonoides viverrinus)」の2亜種あしゅとなります。

エゾタヌキ

タヌキは山地さんちから都市としにまで幅広はばひろ棲息せいそくしています。基本きほん夜行性やこうせい雑食ざっしょくのため、よるにはひとくるま通行つうこうすくなくなり、しかもなまゴミのおお都会とかい十分じゅうぶん生活せいかつをすることができるのです。タヌキは古代こだいのイヌにちかいずんぐりむっくりとした体形たいけいをしていて、イヌなかでも原始的げんしてきわれています。イヌ祖先そせん草原そうげん生活せいかつもとめていったことをまえれましたが、タヌキはとおくの草原そうげんではなく、もともとんでいた樹上じゅじょうからあしもとの森林しんりん湿地しっちつづけてきたのです。

性格せいかくはとても臆病おくびょうで、おおきな物音ものおとがすると気絶きぜつしたふりをするといわれ、「んだのかな?」とおもってそばにくと、ぱっとめてげだすことから「狸寝入たぬきねいり」という言葉ことばができたとされます。

タヌキはイヌにはめずらしく、単独たんどく、またはゆるいペアで行動こうどうし、どもが10かげつほどで独立どくりつするまでは家族集団かぞくしゅうだん生活せいかつをします。

体長たいちょうは50~60せんちめーとる尾長びちょうは15~20せんちめーとるほど。エゾタヌキのほうがホンドタヌキより被毛ひもうながく、四肢ししながめです。

ホンドタヌキ


【アカギツネ】

まるみをびた外見がいけんのタヌキと対照的たいしょうてき見目麗みめうるわしいキツネ。日本にほんでは沖縄おきなわをのぞくほぼすべての地域ちいきにアカギツネが棲息せいそくしています。北海道ほっかいどうにいるのは、アカギツネの亜種あしゅである「キタキツネ(Vulpes vulpes schrencki)」、本州ほんしゅう四国しこく九州きゅうしゅうには、やはりアカギツネの亜種あしゅである「ホンドギツネ(Vulpes vulpes japonica)」が棲息せいそくしています。

キタキツネ

キタキツネとホンドギツネのちがいは、キタキツネのほうがややおおきく、毛色けいろあかるめです。キタキツネはくろいタイツをはいたように、まえうしろあしくろくなっています。乳頭にゅうとうかずはキタキツネは6~8、ホンドギツネは8~10ことなり、頭骨とうこつかたちなどからもホンドギツネはアカギツネの亜種あしゅではなく、日本固有種にほんこゆうしゅとするせつもあるほどです。

ホンドギツネ

キツネもタヌキ同様どうよう、イヌにはめずしく単独たんどく行動こうどうします。ふゆになると夫婦ふうふ繁殖行動はんしょくこうどうをし、8~10か月後げつご子別こわかれの時期じきまで一緒いっしょ子育こそだてをします。

ほかのイヌ科動物かどうぶつとはことなり、りをれではなく単独たんどくおこなてんまるひとみではなく、縦型たてがたひとみをもっているてんなど、キツネはネコ科動物かどうぶつています。キツネは身体能力しんたいのうりょくたかく、冬場ふゆばなどはジャンプをしながらゆきなかにダイブし、ネズミなどの小動物しょうどうぶつつかまえます。キツネは地磁気ちじき地球ちきゅうはっする磁力じりょく)を利用りようして距離きょり推測すいそくする能力のうりょくがあるらしく、そのためにゆきした獲物えもの位置いち正確せいかくにわかるとかんがえるひともいるようです。しかし、キツネはすぐれた聴覚ちょうかくによってゆきしたのネズミるいなどをつけしているのです。また、キツネはべきることのできない獲物えものつちなかのいくつもの箇所かしょめる習性しゅうせいがありますが、あとからその場所ばしょをほどんどまちがわずにてることから、記憶力きおくりょくすぐれているようです。

ジャンプしてゆきなかむキツネ

 

日本にほんにはもうオオカミはいないの?

日本にほんにもかつてはニホンオオカミが棲息せいそく し、イヌワシをのぞけば食物連鎖しょくもつれんさ頂点ちょうてんっていたのです。食物連鎖しょくもつれんさ頂点ちょうてんにあるということは、オオカミを捕食ほしょくする哺乳類ほにゅうるいはいないということです。

オオカミ(日本にほんではすでに絶滅ぜつめつ

どうして絶滅ぜつめつしたんだろう?

いまでこそ製造業せいぞうぎょうIT産業あいてぃーさんぎょうさかんな日本にほんですが、むかし日本人にほんじん田畑たはたたがやし、作物さくもつ収穫しゅうかくする農耕民族のうこうみんぞくでした。そのため、田畑たはた自然災害しぜんさいがいやシカ、イノシシといった野生生物やせいせいぶつからまもることが必要ひつようでした。オオカミはシカやイノシシなどの野生動物やせいどうぶつ捕食ほしょくすることから、人々ひとびとはオオカミをおそれながらもたっとび、田畑たはたまも神様かみさまとしてあがめてきたのです。ところが、明治時代めいじじだいになり、ヨーロッパけいのイエイヌがはいってくると同時どうじ狂犬病きょうけんびょうやジステンパーなどの病気びょうきはいり、オオカミにもそれらの病気びょうきがうつり、ひろがっていったようです。そして、狩猟用しゅりょうようじゅう性能せいのうたかまり、食肉しょくにく毛皮けがわもとめて野生動物やせいどうぶつ大量たいりょう捕獲ほかくされ、オオカミの食物しょくもつとなる動物どうぶつかずり、オオカミはうまなどの放牧動物ほうぼくどうぶつおそうようになったのです。また、日本にほん根付ねづいていた動物どうぶつ神格化しんかくかする価値観かちかん否定ひていするような西洋せいよう思想しそうはいってきたことにより、オオカミはまわしい動物どうぶつとして駆除くじょされてきたのでしょう。さらに、農地のうちひろげるために森林しんりん伐採ばっさいなども各地かくちこり、オオカミはだんだんと姿すがたし、1905ねん1がつ捕獲ほかく最後さいご記録きろくとなり絶滅ぜつめつしたとかんがえられています。本州ほんしゅう四国しこく九州きゅうしゅう棲息せいそくしていたオオカミはニホンオオカミ。北海道ほっかいどうにはハイイロオオカミの亜種あしゅのエゾオオカミが棲息せいそくしていました。エゾオオカミはニホンオオカミもよりもはやくに駆除くじょされ、絶滅ぜつめつしています。

絶滅ぜつめつしたオオカミをもどせる?

日本にほんをはじめオオカミが絶滅ぜつめつしてしまった地域ちいきでは、オオカミなどの天敵てんてきがいないため、シカやイノシシなどの野生やせい草食動物そうしょくどうぶつかず激増げきぞうし、地域ちいき植物しょくぶついつくし、田畑たはただけでなく、のこされた森林しんりん生態系せいたいけい破壊はかいする事態じたいしょうじています。そのため、絶滅ぜつめつしたオオカミをその地域ちいき移入いにゅうするこころみをおこなっているくに地域ちいきもあります。しかし、ニホンオオカミはハイイロオオカミとは別種べっしゅであり、ハイイロオオカミをはなつということは強力きょうりょく外来種がいらいしゅはなすことになりますから、すくなくとも本州ほんしゅう四国しこく九州きゅうしゅうではまったくれられません。

オオカミのはは

オオカミとイエイヌ

オオカミは夫婦ふうふでの生活せいかつ基本きほんとし、りをするときには、ちから性格せいかくなどのすぐれたリーダーのもと、れで戦略的せんりゃくてき行動こうどうします。これは、自分じぶんたちよりもおおきな動物どうぶつ仕留しとめるためになが歴史れきしのなかでだんだんと習得しゅうとくしてきた行動こうどうです。れで行動こうどうすることもおおいため、服従ふくじゅうしるしにおなかをせるなど、イエイヌにちかいボディランゲージを使つかって積極的せっきょくてきにおたがいにコミュニケーションをっています。

イエイヌはタイリクオオカミのふるいタイプのシュウコウテンオオカミ(40万年まんねんほどまえ化石種かせきしゅ)からかれ、2まん5,000年前ねんまえごろ、西にしアジアで人間にんげん一緒いっしょらすようになったとされます。

 

イヌ科動物かどうぶつとネコ科動物かどうぶつちがいってなんだろう?

おおきさについて

ネコ科動物かどうぶつには、トラやライオンといった体重たいじゅうが200きろぐらむえるものから、2きろぐらむにもおよばないほどちいさなサビイロネコやクロアシネコまでいます。一方いっぽう、イヌ最大さいだいはタイリクオオカミで、おおきいものは80きろぐらむにもなります。最小さいしょうはフェネックで、2きろぐらむ未満みまんというちいささです。


フェネック

野生動物やせいどうぶつでは現在げんざい、ネコほう圧倒的あっとうてき体格たいかくのよい動物どうぶつおおいのですが、2,000万年前まんねんまえ~500万年前まんねんまえきたアメリカには、エピキオンというライオンのような骨格こっかくのイヌ科動物かどうぶつがいたとかんがえられています。死肉しにくべ、ほねまでかみくだくほどのつよあごをもっていましたが、おおきな体格たいかく維持いじするだけの食物しょくもつをとりつづけることができず、絶滅ぜつめつしてしまったのです。

動物どうぶつにとっては獲物えものをとることは死活問題しかつもんだいです。大昔おおむかし樹上じゅじょうらしていた動物どうぶつなかもりのこったのがネコ祖先そせん草原そうげんったのがイヌ祖先そせんになったことは、「イヌ動物どうぶつはいつから地球ちきゅうにいるの?」ですでにおはなしをしているとおり。ネコ科動物かどうぶつ祖先そせんたちは、かげしげみにひそめ、一気いっき獲物えものをとる方法ほうほう一方いっぽうのイヌ科動物かどうぶつ祖先そせんたちは、かくれる場所ばしょすくない草原そうげんをひたすらはしり、持久戦じきゅうせんとチームワークで獲物えもの仕留しとめる方法ほうほうにつけたのです。ネコ場合ばあい一気いっき獲物えものをとるにはバネのようにしなやかな肉体にくたい瞬発力しゅんぱつりょく、そしてパワーが必要ひつようです。そのため、筋肉きんにくもだんだんとおおきくなり、骨格こっかくもそれにともなっておおきくなっていったのです。イヌほう長距離ちょうきょりはしりぬくために、疲労 ひろうすくないコンパクトなからだたもち、れでりをするスタイルを定着ていちゃくさせていったのです。こうして、イヌにはネコほどおおきな動物どうぶつはいないということになったのです。

アビシニアジャッカルのれ(エチオピア)

イエイヌとイエネコをくらべた場合ばあい、イエイヌのほうおおきい種類しゅるいおおいとおもいます。イエイヌには大形おおがたのハイイロオオカミのざっているから、大小だいしょう様々さまざまのイヌがいるのです。イエネコはリビアヤマネコだけからなるためおおきさの変異へんいはばちいさいのです。もし、ボルドー・マスティフとかグレート・ピレニーズといったおおきさのイエネコがいたら、その運動能力うんどうのうりょくからかんがえると人間にんげんには危険きけんすぎますよね。

おおきも様々さまざまなイエイヌ

コミュニケーション能力のうりょくについて

れで行動こうどうをする動物どうぶつには、哺乳類ほにゅうるい場合ばあい、ヒトやチンパンジー、ゴリラなどの霊長類れいちょうるい、オオカミをはじめとするイヌ科動物かどうぶつ、そしてハダカデバネズミなどがいます。これらの動物どうぶつほか個体こたい一緒いっしょ、またはちかくで生活せいかつをするために、おたがいの意思いしつたえ、理解りかいする必要ひつようがあります。イヌ科動物かどうぶつおおくはれで生活せいかつをし、りをしますが、れで生活せいかつをするものの、りは単独たんどくおこなったり、単独たんどく生活せいかつをしながられでりをしたりする種類しゅるいもいます。

オオカミの

れでいる時間じかんなが種類しゅるい(ハイイロオオカミなど)のほう視線しせんかわ時間じかんながく、積極的せっきょくてきにコミュニケーションをとっているとする研究結果けんきゅうけっかもあります。

リカオン

「アフリカの野犬やけん」とばれるリカオンは体長100cmせんちめーとる前後ぜんごのイヌ科動物かどうぶつりでの成功率せいこうりつはライオンが20~30ぱーせんとなのにたいし、リカオンは80ぱーせんととものすごいりの能力のうりょくをもちます。リカオンはたいてい6とうほど、おお場合ばあいには30とうほどのれをつくり、生活せいかつともにしています。りのときには、仲間同士なかまどうしこえって積極的せっきょくてきにコミュニケーションをとっています。りでおくれをとってしまった仲間なかまこえしてんだり、先頭せんとうつリカオンがつかれたときには、ほかのリカオンが先頭せんとうったりとすばらしいチームワークを発揮はっきします。また、怪我けがをした仲間なかまりにすることなく、みんなで世話せわをしたり、どもをれでそだてたりと、たか社会性しゃかいせいをもつイヌ科動物かどうぶつなのです。こうしたリカオンの社会性しゃかいせいは、たかいコミュニケーション能力のうりょくをもつからこそたもたれているのです。とても残念ざんねんなことに、最近さいきんではリカオンも、イエイヌの病気びょうき伝染でんせんしたりして劇的げきてきかずらし、絶滅危惧種ぜつめつきぐしゅ指定していされています。

れでりをするリカオン

一方いっぽう、ネコ科動物かどうぶつはライオンをのぞき、ほとんどが単独たんどく生活せいかつをし、単独たんどくりをしています。ははあいだではなめたり、ごえすことでおたがいの存在そんざい確認かくにんしあうコミュニケーションはあります。しかし、れでりをすることがないため、成獣せいじゅう繁殖期はんしょくき異性いせいんだり、威嚇いかくしあうためにごえをあげる以上いじょう目立めだったコミュニケーションはありません。

進化しんかしたイヌるいのこうしたすぐれたコミュニケーション能力のうりょくがイエイヌにもがれているからこそ、イエイヌは人間にんげんともわりとスムースにしたしくなれるのだとかんがえられます。

イエイヌ