森もりに入はいると｢けもの道みち｣があります。それは地球上ちきゅうじょうに動物どうぶつが現あらわれたとき以来いらい、彼かれらが使つかい続つづけてきた踏ふみ跡あとです。動物どうぶつは安全あんぜんで歩あるきやすいところを選えらんで歩あるくから、自然しぜんと踏ふみ跡あとができるのです。その跡あとをたどって狩人かりうどが､塩しおや石器せっきなどの材料ざいりょうを探さがす人ひとたちが､そして木きの実みや山菜さんさいなどの旬しゅんの食たべ物探ものさがしの人ひとたちが森もりに入はいっていき､やがてはっきりとした小径こみちができたのです。今いまでこそ高速道路こうそくどうろや国道こくどうなど立派りっぱな道みちがありますが、道路どうろの最初さいしょはけもの道みちだったのです。

今いま、道みちのない森もりの奥おくに入はいると、いつの間まにか、けもの道みちを歩あるいていることに気きづきます。人ひともまた自然しぜんに入はいると安全あんぜんそうで歩あるきやすいところを選えらぶからです。現代人げんだいじんも大昔おおむかしの人ひとと同おなじなのですね。私わたしは、けもの道みちを注意ちゅういしてあたりをじっくり観察かんさつしながら､どんな動物どうぶつが通とおったのだろう、何なにか落おし物ものはないかな、どこへ向むかったのだろう、などと思おおいをめぐらせながらゆっくり歩あるきます。地面じめんを見みて、リスの食たべかすやモグラ塚づか､小ちいさな生いき物ものたちの痕跡こんせきと気配けはいを探さがします。梢こずえを見上みあげ木この葉はと小鳥ことりの影かげを見みつめます。日ひの光ひかりを顔かおに受うけ木漏こもれ日びを感かんじます。耳みみを澄すませて風かぜや渓流けいりゅうの音おとを聞きき、森もりの香かおりのする空気くうきを胸むねいっぱいに吸すい込こみます。全身ぜんしんで森もりを感かんじながら歩あるくのです。この中なかに自分じぶんだけが感かんじるものがあります。

けもの道みちを歩あるくことを繰くり返かえすことで森もりの四季しき、朝あさと夕方ゆうがた、昼ひると夜よる､晴はれの日ひや雨あめの日ひの色いろや温度おんどを感かんじとります。大おおきな豊ゆたかさある自然しぜん､そんな自然しぜんの中なかに浸つかっている自分じぶんを感かんじるようになるでしょう。私わたしはこの感性かんせいがとても大切たいせつだと考かんがえています。特とくに未来みらいに生いきる子こどもたちは鋭するどい感性かんせいをもっていますから、子こどもたちにこの感覚かんかくを伝つたえたいと思おもっています。将来しょうらいどのような仕事しごとに就つこうとも、全身ぜんしんで感　かんじた経験けいけんは大人おとなになっても心こころの底そこに残のこっているものです。自分じぶんにとって大切たいせつな何なにかを……人ひとによってそれぞれで少すこしずつ違ちがいますが……見みつけるでしょう。

けもの塾じゅくはそのような子こどもたちが楽たのしく体験たいけんする場ばです。先生せんせいは森もりや自然しぜんです。ぜひ参加さんかしてみませんか。