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イタチ

イタチを漢字かんじくと、「鼬」。「ねずみへん」がついていますが、じつはイタチはネズミ(齧歯目げっしもく)ではなく、分類学的ぶんるいがくてきには「食肉目しょくにくもく(ネコもく)―イヌ亜目あもく―クマ下目かもく―イタチ上科じょうか―イタチ」。細長ほそながからだみじか四肢しし特徴とくちょうで、可愛かわいらしいかおにもかかわらず、食肉目しょくにくもくではめずらしくするどきばつめをもち、ネズミなどを捕食ほしょくするハンターなのです。しかも、危険きけんせまると、ものすごくくさいオナラをする!イタチ上科じょうかには、イタチのほか、レッサーパンダ、アライグマ、スカンクなどもあります。

イタチぞくする動物どうぶつおおきさや生活圏せいかつけんはまちまちで、のひらサイズのイイヅナからアナグマ、そしてラッコやカワウソのように水辺みずべ動物どうぶつまで全部ぜんぶやく60しゅ最近さいきんペットとして人気にんきのフェレットもイタチです。

まずは、イタチにはどんな動物どうぶつがいるのか、そして、どんな動物どうぶつなのかなど、っているようでらないイタチ動物どうぶつについて、さあ、調しらべてみましょう!


イタチにはどんな動物どうぶつがいるんだろう?

イタチ食肉目しょくにくもく最大さいだいのグループ。やく60種類しゅるい動物どうぶつがイタチ分類ぶんるいされており、オーストラリアやニュージーランドなどのオセアニア以外いがい全世界ぜんせかい棲息せいそくしています。

オセアニアにどうしてイタチ棲息せいそくしていないのでしょうか?

かつては大陸たいりく地続じつづきだったオセアニアがはなれたのは、いまからおよそ6,500万年前まんねんまえ。そのころは、有袋類ゆうたいるい世界各地せかいかくち隆盛りゅうせいきわめていたころで、オセアニアにのこされた有袋類ゆうたいるいはそのあと進化しんかつづけ、現在げんざいゆたかな動物相どうぶつそう形作形づくっているのです。一方いっぽう、そののち各地かくちあらわれたイタチるいをはじめとする哺乳類ほにゅうるいうみえてオセアニアにわたってくることができず、野生やせいではイタチはオセアニアには存在そんざいしないというわけなのです。

【イタチ動物どうぶつ

[ ]ない表示ひょうじは、棲息地せいそくち成獣せいじゅう平均体重へいきんたいじゅう(kgきろぐらむ)

イタチ亜科(Mustelinae)
イタチぞくMustela極地きょくちのぞいた幅広はばひろ地域ちいき/ 0.12~1.5㎏]
○アルタイイタチ(M. altaica
○オコジョ(M. erminea
○オナガオコジョ(M. frenata
○キバライタチ(M. kathiah
○イイズナ(M. nivalis
○シベリアイタチ(タイリクイタチ、チョウセンイタチ/M. sibirica
○ニホンイタチ(M. itatsi
○セスジイタチ(M. strigidorsa
○ハダシイタチ(M. nudipes
○ヨーロッパミンク(M. lutreola
○ヨーロッパケナガイタチ(M. putorius
○フェレット(M. furo
○ステップケナガイタチ(M. eversmanni
○クロアシイタチ(スジハライタチ/M. nigripes
○アマゾンイタチ(M. africana
○コロンビアイタチ(M. felipei

ステップケナガイタチ

マダライタチぞくVormela[ヨーロッパ南東部なんとうぶ中国西部ちゅうごくせいぶ/0.3~0.7kg]
○マダライタチ(V. peregusna)

マダライタチ

テンぞくMartes[ユーラシア大陸たいりく南北なんぼくアメリカ大陸たいりく日本にほん、インドネシア/0.9~1.5㎏]
○アメリカテン(M. americana
○キエリテン(M. flavigula
○ムナジロテン(M. foina
○ニルギリキエリテン(M. gwatkinsii
○マツテン(M. martes
○テン(M. melampu
○クロテン(M. zibellina

クロテン

タイラぞくEira[メキシコ南部なんぶ~パラグアイ、アルゼンチンの森林しんりん/4~5㎏]
○タイラ(E. barbara

タイラ

グリソンぞくGalictis[メキシコ南部なんぶからパラグアイとアルゼンチンまでの森林しんりん/1.4~3.5㎏]
○ヒメグリソン(G. cuja
○グリソン(G. vittata) 

ヒメグリソン

グリソンモドキぞくLyncodon中南米ちゅうなんべい/0.4㎏~1.4㎏]
○グリソンモドキ(L. patagonicus

ゾリラぞくIctonyx[リビア、スーダンからみなみアフリカの草原そうげん、サハラの半砂漠はんさばく地帯ちたい/0.4~1.4㎏]
○ゾリラ(I. striatus
○サハラゾリラ(I. libyca) 

ゾリラモドキぞくPoecilogale[サハラ以南いなんのアフリカ/0.3㎏]
○ゾリラモドキ(P. albinucha) 

クズリぞくGulo[ユーラシア大陸たいりく北部ほくぶきたアメリカ大陸北部たいりくほくぶ北極圏ほっきょくけん/7~32㎏]
○クズリ(G. gulo

クズリ

ラーテルぞくMellivora西にしアジア、サハラ以南いなんのアフリカの森林しんりんやサバンナ/8~14㎏]
○ラーテル(ミツアナグマ/M. capensis

ラーテル

アナグマぞくMeles[ユーラシア大陸たいりく森林しんりん日本にほん/5~16㎏]
○アナグマ(M. anakuma
○アジアアナグマ(M.leucurus
○ヨーロッパアナグマ(M. meles

ヨーロッパアナグマ

ブタバナアナグマぞくArctonyx中央ちゅうおうアジア、東南とうなんアジア/7~14㎏]
○ブタバナアナグマ(A. collaris

ブタバナアナグマ

アメリカアナグマぞくTaxidea[アメリカ合衆国がっしゅうこく・カナダ・メキシコの草原そうげん/4~12㎏]
○アメリカアナグマ(T. taxus

アメリカアナグマ

 イタチアナグマぞく(Melogale)南東なんとうアジア/1~2㎏]
○シナイタチアナグマ (M. moschata
○ボルネオイタチアナグマ(M. everetti
○ジャワイタチアナグマ (M. orientalis)
○ビルマイタチアナグマ(M. personata
○ベトナムイタチアナグマ (M. cucphuongensi)

ビルマイタチアナグマ

 ミンクぞくNeovisonきたアメリカ大陸たいりくひがしヨーロッパからシベリア西部せいぶ/7~23㎏]
○ミンク(アメリカミンク/N. vison
○ウミベミンク(絶滅ぜつめつN. macrodon

ミンク

フィッシャーぞくPekania[カナダの針葉樹林しんようじゅりん/2〜6kg]
○フィッシャー(P. pennanti

フィッシャー

カワウソ亜科あか(Lutrinae)
カワウソぞくLutra[ユーラシア大陸たいりく、インドネシア、きたアフリカ/4~10㎏]
○ユーラシアカワウソ(ヨーロッパカワウソ/L. lutra )
○スマトラカワウソ(L. sumatrana
ニホンカワウソL. nippon

ユーラシアカワウソ

オオカワウソぞくPteronura南米なんべいのアマゾン川流域がわりょういき/24~34㎏]
○オオカワウソ(P. brasiliensis

オオカワウソ

ツメナシカワウソぞくAonyx[サハラ砂漠以南さばくいなんのアフリカ大陸たいりく東南とうなんアジア/11~21㎏]
○ツメナシカワウソ(A. capensis
○コツメカワウソ(A. cinerea

ツメナシカワウソ

ノドブチカワウソぞくHydrictis[サハラ砂漠以南さばくいなんのアフリカ大陸たいりく/3.5~6.5kg]
○ノドブチカワウソ(H. maculicollis

ノドブチカワウソ

カナダカワウソぞくLontraきたアメリカ、チリ、ペルー/5~14㎏]
○カナダカワウソ(L. canadensis
ミナミウミカワウソL. felina
○オナガカワウソ(L. longicaudis
○チリカワウソ (L. provocax

カナダカワウソ

ビロードカワウソぞくLutrogale[イラク、インダス川流域がわりゅういき、マレー半島はんとう、スマトラとう、ボルネオとう/7~11㎏]
○ビロードカワウソ(L. perspicillata

ビロードカワウソ

ラッコぞくEnhydra[アメリカ合衆国がっしゅうこく、カナダ、ロシア東部とうぶ千島列島ちしまれっとう/15~22㎏]
○ラッコ(E. lutris

ラッコ

 

イタチ動物どうぶつはいつから地球ちきゅうにいるんだろう?

うえであげた種類しゅるいおおささからもわかるように、イタチ食肉目しょくにくもくなか最大さいだいのグループです。祖先そせんやく6,500万年前まんねんまえから4,800万年前まんねんまえ北米ほくべいやヨーロッパに棲息せいそくしていたミアキス(Miacids/「動物どうぶつはは」という意味いみ)。また、6,600万年前まんねんまえごろにもり出現しゅつげんしたプロトゥンギュラトゥム・ドナエ(Protungulatum donnae)であるとするせつもあります。

うえ自分じぶんたちよりちいさいきものなどをとらえながらひっそりとらしていたこれらの祖先そせんですが、やがて個体数こたいすう増加ぞうかにより生存競争せいぞんきょうそうはげしくなり、もりはなれて草原そうげんらすものもてきました。それらがイヌ祖先そせんとなったのです。しかし、草原そうげん馴染なじむことのできないグループもあり、それらはふたたもりもどっていきました。それがクマ祖先そせんです。クマすぐれた環境かんきょう適応能力てきおうのうりょく世界せかい各地かくちひろがっていきますが、そのなか棲息せいそく地域ちいき環境かんきょう急激きゅうげき変化へんかにともない、4,000万年まんねんぐらいまえにイタチやカワウソの祖先そせんグループとスカンクの祖先そせんという2つの系統けいとう枝分えだわかれします。イタチやカワウソの祖先そせんなかでもうみほう進出しんしゅつするものがあらわれ、それがカワウソの祖先そせんとなりました。これは、2,500万年まんねんから2,000万年前まんねんまえあいだのできごとです。みずなかでも棲息せいそくするように進化しんかをしたカワウソですが、そのなかでもとくりくをほとんど必要ひつようとしないまでにみず適応てきおうしたのがラッコなのです。

日夜にちや目覚めざましい発展はってんをとげる科学技術かがくぎじゅつですが、こと、きものの進化しんかとなると最新さいしん技術ぎじゅつでも解明かいめいすることのできないことがおおく、いまでも世界中せかいじゅうおおくの研究者けんきゅうしゃたちが進化しんか歴史れきしをひもこうと努力どりょくつづけています。

 

日本にほんにはどんなイタチ動物どうぶつがいるんだろう?

【ニホンイタチ(ホンドイタチ)】

ニホンイタチは日本固有種にほんこゆうしゅ

本州ほんしゅう四国しこく九州きゅうしゅう水辺みずべ森林しんりん幅広はばひろ棲息せいそくしている日本固有種にほんこゆうしゅです。北海道ほっかいどう本島ほんとう北海道ほっかいどう本州ほんしゅう周辺しゅうへん島々しまじまにもニホンイタチが棲息せいそくしていますが、北海道ほっかいどうのものは明治めいじ初期しょき本州ほんしゅうから貨物かもつ一緒いっしょ北海道ほっかいどう移入いにゅうしたものです。また、島々しまじまむニホンイタチは、ノネズミの駆除くじょのために人間にんげん移入いにゅうさせたものが野生化やせいかしたものです。

このニホンイタチが日本にほんあらわれたのは、アジア大陸たいりく日本にほんがまだ陸続りくつづきであったころであるとかんがえられています。

ニホンイタチ

ニホンイタチの特徴とくちょう

イタチ動物どうぶつおおくは、オスのほうがメスよりも体からだがおおきいのですが、そのがすべての哺乳類ほにゅうるいなか一番大おおきいのが、このニホンイタチで、オスの体長たいちょうは27~37cmせんちめーとる、メスは16~25cmせんちめーとるほどです。

冬眠とうみんはせずに、昼夜ちゅうやにかかわらず活動かつどうし、およぎも木登きのぼりも得意とくいで、ネズミや小鳥ことりなどの小動物しょうどうぶつさかな両生類りょうせいるい昆虫こんちゅうなどのほか、やまブドウなどの植物しょくぶつべます。繁殖力はんしょくりょくつよく、北海道ほっかいどうでは1ねんに1かい、それ以外いがい地域ちいきではねんに2かい1度いちど出産しゅっさんで3~5ひきみます。

繁殖力はんしょくりょくつよいはずのニホンイタチですが、1950年前後ぜんご日本にほんはいってきた、ニホンイタチよりもおおきなチョウセンイタチに住処すみかわれ、そのかずらし、地域ちいきによっては絶滅危惧種ぜつめつきぐしゅ指定していされているのです。その一方いっぽう移入いにゅうされたニホンイタチが在来種ざいらいしゅきものをおびやかしている地域ちいきもあります。


【チョウセンイタチ(タイリクイタチ、シベリアイタチ)】

在来種ざいらいしゅ外来種がいらいしゅ

 九州きゅうしゅう 長崎県ながさきけん対馬島つしまとうむイタチはチョウセンイタチ。西日本にしにほんにも朝鮮半島ちょうせんはんとうから移入いにゅうされたチョウセンイタチが棲息せいそくしていますが、対馬つしまのチョウセンイタチとはDNAでぃーえぬえーことなるという研究けんきゅうもあり、本州ほんしゅうのは外来種がいらいしゅ対馬つしまのは在来種ざいらいしゅであるとうこともできます。対馬つしま大昔おおむかし、ユーラシア大陸たいりく陸続りくつづきで、大陸たいりくはなされたあとも、ユーラシアに棲息せいそくする動植物どうしょくぶついまいきづく貴重きちょう環境かんきょうのこっているのです。

チョウセンイタチ

ニホンイタチとのちがいは?

チョウセンイタチはもともと、砂漠地帯さばくちたいのぞくユーラシア大陸たいりくひろ地域ちいき棲息せいそくするイタチで、ニホンイタチよりもややおおきい体格たいかくをしています。チョウセンイタチのほうすこ黄色きいろつよ体毛たいもうをしています。また、ニホンイタチのからだの40ぱーせんとほどのながさなのに、チョウセンイタチのほうは50ぱーせんとほどとチョウセンイタチのほうながいのが特徴とくちょうです。

ニホンイタチにくらべ、チョウセンイタチのほう雑食性ざっしょくせいつよいため、よりひろ地域ちいき棲息せいそくすることができます。そのため、ニホンイタチの棲息域せいそくいきおびやかす存在そんざいにもなっているのです。一方いっぽう対馬つしまのチョウセンイタチは棲息せいそく環境かんきょう悪化あっかなどによってかず大幅おおはば減少げんしょうし、2020ねん3がつには絶滅危惧種ぜつめつきぐしゅ指定していされました。


【ニホンテン(ホンドテン)】

ニホンテンも日本にほん固有種こゆうしゅ

本州ほんしゅう四国しこく九州きゅうしゅう広葉樹こうようじゅもり里山さとやまむニホンテンは、日本にほん固有種こゆうしゅ体長たいちょう44~55せんちめーとるとネコほどのおおきさであるものの、体重たいじゅうはネコよりもかるく、とても身軽みがる木登きのぼりも得意とくいです。

ニホンテン

夏毛なつげくろっぽい茶色ちゃいろふゆになると体毛たいもう黄色きいろくなるものを「キテン(黄貂、木貂)」とび、くろっぽい茶色ちゃいろのままのものを「スステン(煤貂)」とびます。キテンは東北地方とうほくちほう四国しこく九州きゅうしゅうおおく、スステンは関東かんとう中国地方ちゅうごくちほうおお棲息せいそくしています。1年中ねんじゅう黄色きいろいニホンテンもいるなど、個体こたいによって体毛たいもう変化へんか様々さまざまです。冬眠とうみんはせず、1年中ねんじゅう活動かつどうをしています。


【エゾクロテン】

北海道ほっかいどうだけにいるエゾクロテン 

ロシアやカザフスタン、モンゴルなどひんやりとした地域ちいき針葉樹林しんようじゅりんむテンぞくクロテンの亜種あしゅで、日本にほんでは北海道ほっかいどうにのみ棲息せいそくしています(日本にほん固有亜種こゆうあしゅ)。ちょっただけでは、ニホンテンとていますが、エゾクロテンのほうみじかく、冬毛ふゆげもややクリームいろがかっているのが特徴とくちょうです。エゾクロテンも冬眠とうみんはしません。

エゾクロテン

体長たいちょうは50せんちめーとるほどで、ユーラシア大陸たいりくむクロテンよりもやや小形こがたです。毛皮けがわ目的もくてき乱獲らんかくされてかずったり、また、毛皮けがわのために家畜かちくとして本州ほんしゅうから移入いにゅうされたニホンテンが野生化やせいかし、エゾクロテンとの交雑こうざつ心配しんぱいされたりしています。


【ニホンアナグマ】

ニホンアナグマも日本にほん固有種こゆうしゅ

ニホンアナグマは本州ほんしゅう四国しこく九州きゅうしゅう小豆島しょうどしま森林しんりん里山さとやまんでいます。ユーラシア大陸たいりくひろくアナグマは棲息せいそくしてますが、ニホンアナグマはかず生態せいたいなどがそれらとことなる日本にほん固有種こゆうしゅです。標高ひょうこうたか地域ちいきにも棲息せいそくしていることが確認かくにんされています。

クマのタヌキに一見いっけんているため、地方ちほうによっては「ムジナ」として、タヌキと一緒いっしょあつかわれることがありますが、ニホンアナグマはイタチです。

ニホンアナグマ

ニホンアナグマの特徴とくちょう

ニホンアナグマは体長たいちょう52~68せんちめーとる体重たいじゅう5~14きろぐらむで、しっかりとした骨格こっかく四肢ししふとみじかく、5ほんゆびをもち、アナグマという名前なまえとおり、あな習性しゅうせいがあり、そのために前肢ぜんしつめがとても発達はったつしています。ふゆなつではからだのサイズがことなり、ふゆなつの2ばいちかくまでコロコロに脂肪しぼうたくわえるものもいます。

巣穴すあな根元ねもと倒木とうぼくかげくさむらなどにあり、何世代なんせだいにもわたり使つかいながら、あたらしいあなって、出入口でいりぐちやしています。時間じかんがたつにつれて巣穴すあな大規模だいきぼなものとなりますが、使つかわない巣穴すあな一部分いちぶぶんをタヌキがちゃっかりと利用りようするようなこともあり、「おなあなのムジナ」(意味いみ無関係むかんけいのようにえるけれど、じつ同類どうるい仲間なかま であること)というまわしがまれたようです。

気候きこうあたたかな地域ちいきむニホンアナグマは冬眠とうみんしませんが、さむ地域ちいきむものは冬眠とうみんをします。食性しょくせいはタヌキと雑食性ざっしょくせいで、昆虫こんちゅうやミミズから果実かじつまでなんでもべます。また、タヌキとおなじように、捕食者ほしょくしゃ出会であったときなど、擬死ぎしをします。擬死ぎしとは「んだふり」、つまり「狸寝入たぬきねいり」のこと。これは攻撃こうげきしたり逃走とうそうするのが苦手にがてきものにられる自分じぶんまも方法ほうほうで、んだふりをすることで捕食ほしょくされるのをまぬがれようとしているのです。

ニホンアナグマは繁殖率はんしょくりつひくく、最近さいきんでは外来種がいらいしゅのアライグマによりニホンアナグマの棲息場所せいそくばしょがおびやかされることもおおく、地域ちいきによっては絶滅ぜつめつ危惧種きぐしゅじゅん絶滅危惧種ぜつめつきぐしゅ指定していされています。


【オコジョ】

ホンドオコジョとエゾオコジョ

オコジョは、ユーラシア大陸北部たいりくほくぶやアメリカ大陸全域たいりくぜんいき、グリーンランド東部とうぶなど、どちらかとえば気温きおんひく地域ちいき山地さんち棲息せいそくしています。その亜種あしゅやく35種類しゅるいです。日本にほんんでいるのは、そのうちの2種類しゅるい - ホンドオコジョとエゾオコジョ -です。

体長たいちょうは16~33cmせんちめーとるほど。イタチ動物どうぶつらしく、胴長短足どうながたんそく体形たいけいではありますが、うしろあしがながくジャンプが得意とくいで、とてもすばしっこいうごきをします。あいらしいかおをしているものの、気性きしょうあらく、小鳥ことりやネズミ、カエルなどの小動物しょうどうぶつだけでなく、自分じぶんよりおおきいノウサギや水鳥みずどり、ライチョウなどをおそうこともあります。1ねんに2かいわり、なつ茶色ちゃいろ背中せなかしろいおなかふゆくろさき以外いがい全身ぜんしんしろという姿すがたになります。

オコジョ(なつ

ホンドオコジョは東北地方とうほくちほう中国地方ちゅうごくちほう山岳地帯さんがくちたい棲息せいそくしています。体長たいちょうは14~20せんちめーとるほど。一方いっぽうのエゾオコジョが棲息せいそくするのは、北海道ほっかいどうやロシア東部とうぶたかけわしい山々やまやまがそびえる地域ちいき。ホンドオコジョよりもおおきくて、体長たいちょう22~24せんちめーとるほどです。どちらもいわほら巣穴すあなをつくり、らしています。外来種がいらいしゅであるミンクに棲息域せいそくいきおびやかされたり、毛皮けがわをとるために乱獲らんかくされたりして急激きゅうげきかずらし、どちらのオコジョも じゅん絶滅ぜつめつ危惧種きぐしゅ指定していされています。

オコジョ(ふゆ

【イイズナ

食肉類しょくにくるい最小さいしょう動物どうぶつ

食肉目しょくにくもく最小さいしょうわれるイイズナは、きたアフリカやきたアメリカ、ユーラシア大陸たいりく北部ほくぶ森林しんりん平野へいやなど、ネズミが豊富ほうふにいる地域ちいきんでいます。その体長たいちょうは13~20せんちめーとるほど。ネズミの巣穴すあな侵入しんにゅうできるほどのおおきさです。オコジョとおなじように、なつ茶色ちゃいろ背中せなかしろいおなかふゆ全身ぜんしんしろになりますが、そのちがいは尻尾しっぽ。オコジョのほう倍近ばいちかながさがあり、尻尾しっぽさきくろくなっています。また、棲息せいそく地域ちいきもオコジョのほう高所こうしょんでいるようです。

イイズナ

日本にほんにすむイイズナは2亜種あしゅ

日本にほんにはニホンイイズナとキタイイズナという2亜種あしゅ棲息せいそくしています。ニホンイイズナは青森県あおもりけん岩手県いわてけん秋田県あきたけん、キタイイズナは北海道ほっかいどう棲息地せいそくちです。ニホンイイズナは日本にほん固有亜種こゆうあしゅ、キタイイズナはユーラシア大陸たいりくむイイズナと同亜種どうあしゅです。

一般的いっぱんてきにオコジョのほうがイイズナよりもおおきいのですが、日本にほんむオコジョとイイズナは20せんちめーとるほどとちがいがありません。


【ミンク(アメリカミンク)

北米ほくべい棲息せいそくするミンク

ミンクはもともとアラスカやカナダ、アメリカ合衆国がっしゅうこく北部ほくぶなどきたアメリカに棲息せいそくする動物どうぶつです。体長たいちょう36~45せんちめーとる尾長びちょう30~36せんちめーとる体重たいじゅう0.7~1きろぐらむほど。ミンク(アメリカミンク)はミンクぞく分類ぶんるいされていますが、ヨーロッパミンクはイタチぞくべつぞくけられています。氷河時代ひょうがじだい、アメリカ大陸たいりくから陸続りくつづきだったベーリング海峡かいきょうとおりユーラシア大陸たいりくにわたったものがヨーロッパミンクとなったとかんがえられていてます。名前なまえこそ両方りょうほうに「ミンク」とついていますが、アメリカミンクとヨーロッパミンクは近縁きんえんではないとされています。


うつくしい毛皮けがわのため輸入ゆにゅうされ、野生化やせいか

ミンクは、ひかりによって様々さまざま色合いろあいをせるうつくしい体毛たいもうつことでられています。ヨーロッパや日本にほんではこの毛皮けがわのためにミンクを輸入ゆにゅうし、養殖ようしょくすすめてきました。その結果けっかげて野生化やせいかしたミンクがもともといる動物どうぶつおびやかしたり、水辺みずべこのみ、攻撃的こうげきてき色々いろいろ生物せいぶつ捕食ほしょくするために地元じもと漁業ぎょぎょうなどにも影響えいきょうをおよぼすほどになっています。国立こくりつ環境かんきょう研究所けんきゅうしょの「侵入動物しんにゅうどうぶつデータベース」によると、北海道ほっかいどうだけでなく、宮城みやぎ福島ふくしま群馬ぐんま長野ながの一部いちぶでもミンクの野生化やせいか確認かくにんされています。

ミンク(北海道ほっかいどう

ニホンカワウソってもういないの?

2012ねん環境省かんきょうしょうがニホンカワウソを絶滅ぜつめつ指定していしてから、いくつかの目撃もくげきしたという情報じょうほう自治体じちたいなどにせられているものの、ニホンカワウソがいま棲息せいそくしているという確証かくしょうをつかむところまではいたっていません。

ニホンカワウソ(切手きって

ニホンカワウソの特徴とくちょう

ニホンカワウソは体長たいちょう55~58cmせんちめーとる尾長びちょう35~56cmせんちめーとる体重たいじゅう4~11kgきろぐらむほどで、切手きってのように背中せなかくろっぽい茶色ちゃいろ、おなか部分ぶぶんはうすい茶色ちゃいろ夜行性やこうせい昼間ひるま陸上りくじょういわいわあいだしげみに何箇所なんかしょめた場所ばしょ睡眠すいみんをとり、よるかわはいってさかなやエビ、カニ、カエルなどをつかまえてべていたようです。

ニホンカワウソは明治時代めいじじだいには日本にほんかわ流域りゅういき沿岸えんがんおお棲息せいそくする、日本人にほんじんには馴染なじぶか動物どうぶつだったのです。日本にぼん固有種こゆうしゅとするせつもあれば、アジアからヨーロッパにひろ棲息せいそくするユーラシアカワウソの亜種あしゅとするせつもあります。


どうして絶滅ぜつめつしてしまったんだろう?

しつ毛皮かげわ、そして結核けっかくという病気びょうきくとかんがえられていたきもをとるために大量たいりょう捕獲ほかくされ、どんどん個体数こたいすうっていきました。1964年、天然てんねん記念物きねんぶつ、その翌年よくねんには特別とくべつ天然てんねん記念物きねんぶつ指定していされたものの、水質すいしつ悪化あっかなどによってニホンカワウソが棲息せいそくできる地域ちいきすくなくなり、ついに絶滅ぜつめつしてしまったのです。北海道ほっかいどうにもかつてはニホンカワウソがんでいて、本州ほんしゅう四国しこく九州きゅうしゅう、そして長崎県ながさきけん壱岐島いきのしま対馬島つしまとう棲息せいそくしていたニホンカワウソとはべつ亜種あしゅとされています。しかし、標本ひょうほんかずがとてもすくなく、しかも絶滅ぜつめつしているため、まだはっきりとしたことはわかっていません。


もしかしたら、絶滅ぜつめつしていないかも⁉︎

対馬島つしまとう高知県こうちけんでニホンカワウソを目撃もくげきしたというニュースを時々ときどききます。しかし、それがニホンカワウソであるか、もしくは大陸たいりくむカワウソがなんらかの方法ほうほうわたってきて、そのままついているのかはまだはっきりとしていません。まぼろしのニホンカワウソをもとめ、おおくのひとたちがいま各地かくち奮闘ふんとうつづけているのです。


ペットして人気にんきのフェレット ー 自然しぜんなかることはできるの?

残念ざんねんながら、野生やせいのフェレットは存在そんざいしないのです。


じつはフェレットは・・・

フェレットはヨーロッパの森林しんりん草原そうげんむヨーロッパケナガイタチを家畜化かちくかしたものであるとわれています。いまから3,000ねんむかし古代こだいエジプト時代じだいにはもうペットとしてわれていたようです。フェレットは陽気ようき性格せいかく。イエイヌのように人間にんげんうことをきくわけではないけど、人間にんげんなつきやすく、しかも細長ほそながからだをしているので、りのとき、巣穴すあなかくれているウサギをてたり、煙突えんとつ掃除そうじをするのに利用りようされたりしていました。

フェレット

現在げんざいでは姿すがたかたちの可愛かわいらしさにくわえ、おおきなこえくこともなくしずかで、散歩さんぽ手間てまもないことからペットとして大人気だいにんきです。しかし、フェレットも食肉目しょくにくもく動物どうぶつです。凶暴きょうぼう一面いちめんもあるので、まれないように注意ちゅういする必要ひつようがあります。また、自然しぜんなかんで野生化やせいかしてしまうようなことのないよう、きちんと管理かんりすることをわすれずに。

イタチ動物どうぶつからだ不思議ふしぎ

種類しゅるいおおく、特徴とくちょうもさまざま

イタチ動物どうぶつ種類しゅるいがとてもおおいため、おおきさも体長たいちょう17~150せんちめーとるとまちまち。オスとメスではオスのほう体格たいかくがよく、オスメスともに細長ほそながからだみじか四肢しし特徴とくちょうです。食肉目しょくにくもくおおくの動物どうぶつゆびが4ほんですが、イタチは5ほんです。それぞれのゆびにはしっかりとしたつめがついていますが、ツメナシカワウソのようにまえあしにつめのない種類しゅるいもいます。

生態せいたい様々さまざまで、夜行性やこうせいおおいながらも昼行性ちゅうこうせいのものもいます。また、食肉目しょくにくもくだけに肉食にくしょくがメインですが、果実かじつなどをべる種類しゅるいもいます。


オナラのこと

イタチのもうひとつの特徴とくちょうは、オナラをすること。肛門こうもん両側りょうがわ肛門腺こうもんせんというところ(分泌腺ぶんぴつせん)があって、てきおそわれたときなどに強烈きょうれつなにおいがするえき噴射ふんしゃします。日本にほん には「イタチの最後さいご」という言葉ことばがあります。これは、ひとがどうしようもないときくるまぎ使つか最後さいご手段しゅだんのこと。これはイタチ動物どうぶつ危険きけん直面ちょくめんしたとき、肛門腺こうもんせんからとてもくさえきし、相手あいてがそのくささにひるんでいるすきげることからているのですね。

オナガオコジョ