けもの塾
コウモリには怖こわかったり、不気味ぶきみだったりするイメージがあると思おもうけれど、それは小説しょうせつや映画えいがでそういった役回やくまわりをしているからに過すぎないんだ。ほとんどのコウモリが羽虫はむしなどを食たべ、フルーツや花はなの蜜みつを食たべるコウモリもいる。俗ぞくに言いう吸血きゅうけつコウモリは、チスイコウモリ科かの3種類しゅるい―ナミチスイコウモリ、シロチスイコウモリ、ケアシチスイコウモリーだけ。これは、1000種類以上しゅるいいじょういるコウモリのうち、0.3パーセントほどにしかならないんだ。このチスイコウモリは哺乳類ほにゅうるいで唯一ゆいいつの吸血動物きゅうけつどうぶつであり、現在げんざいのところ日本にほんはもちろん、アジアなどには生息せいそくせず、北きたアメリカ南西部なんせいぶから中央ちゅうおうアメリカ、南みなみアメリカ(メキシコからアルゼンチン北部ほくぶ)に生息せいそくしているんだ。
チスイコウモリは体長たいちょう8㎝前後ぜんご、体重たいじゅう15~50gと小ちいさく、夜行性やこうせいで、エコーロケーションによって獲物えものとなる動物どうぶつの位置いちを確認かくにんし、鼻はなの熱ねつセンサーを使つかって血管けっかんを見みつけ出だし、鋭するどい前歯まえば(門歯もんし)で皮膚ひふに傷きずをつけて血ちをなめとっているんだ。なめとる血ちの量りょうは少すくなく、血ちを吸すわれた動物どうぶつが死しに至いたることはないいんだよ。
このチスイコウモリは団結力だんけつりょくが強つよく、特とくにメスは集団しゅうだんで生活せいかつをしている。子育こそだてもその集団しゅうだんの中なかで行おこなうんだ。ひとつのところに集あつまることによって子こどもを温あたため、また集団しゅうだんでいることにより捕食者ほしょくしゃから身みを守まもっているんだよ。また、チスイコウモリは体からだが小ちいさいために、2日食事ふつかしょくじができないと餓死がししてしまう。獲物えもののありつけなかった仲間なかまがいると、自分じぶんが摂取せっしゅした血液けつえきを吐はき戻もどして仲間なかまにあげることも知しられているんだ。お互たがいに助たすけ合あうことで小ちいさいながらも、厳きびしい自然環境しぜんかんきょうを生いき延のびている―それがチスイコウモリなんだよ。