けもの塾
モグラ
モグラの仲間なかまはアフリカ、南みなみアメリカ、オーストラリアといった南半球みなみはんきゅうには生息せいそくしないんだ。ユーラシアと北きたアメリカに特有とくゆうの動物どうぶつという訳わけだね。なぜ南半球みなみはんきゅうにいないのか……それは進化しんかと生物地理せいぶつちりが深ふかく関係かんけいしているんだよ。
モグラの仲間なかまは、尾おが長ながく耳介じかいがあるトガリから進化しんかしてきたことは確たしかなんだ。北きたアメリカに現あらわれ広ひろく分布ぶんぷするようになったトガリのうち、アジアにすむものからモグラの祖先そせんは進化しんかしたと考かんがえられているんだよ。その証拠しょうこに、トガリによく似にているけれどモグラのような骨格こっかくをもつミミヒミズという小獣しょうじゅうが中国ちゅうごくの四川省しせんしょう、雲南省うんなんしょう、およびミャンマー(ビルマ)北部ほくぶに分布ぶんぷするんだ。
ミミヒミズからヒミズが進化しんかし、ヒミズからアジアでモグラが、ヨーロッパでミズラモグラが、そして北きたアメリカに広ひろがったものからトウブモグラが進化しんかしたんだ。これらのモグラがヨーロッパや北アメリカから南下なんかできなかったのは、アフリカにはキンモグラの仲間なかまがすでにいたこと、南みなみアメリカは長ながらく島大陸しまたいりくだったことと、そこには小ちいさな有袋類ゆうたいるいが以前いぜんからいたことが主おもな原因げんいんだったと思おもわているんだ。
一方いっぽう、オーストラリアは南みなみアメリカから有袋類ゆうたいるいが入はいり込こんで以来いらい、ずっと島大陸しまたいりくだったから当然とうぜんモグラは分布ぶんぷしていないんだ。その生態的地位せいたいてきちいを有袋類ゆうたいるいのフクロモグラが占しめているのはたいへん興味深きょうみぶかい現象げんしょうだね。